RFIDは無線通信を利用するため、タグの状態や周囲の環境によっては正しく読み取れないことがあります。ここでは、RFIDの読み込みトラブルが起こる主な原因と対処法を解説します。

RFIDの読み込みトラブルは、タグの不良だけでなく、周囲の金属や機器、タグとアンテナの位置関係など、さまざまな要因で発生します。主な原因と対処法を見ていきましょう。
RFIDタグそのものに不良があると、正常に読み取れないことがあります。全数検査済みのタグでも、個体差によって通信性能にばらつきが生じる場合があります。そのため、リーダーライターによる簡易判定だけでなく、実際の使用環境で読み取り性能を確認することが重要です。
不良が見つかったタグは識別できるよう印を付け、使用対象から外しましょう。不良品が多く業務に影響する場合は、納品時に受け入れ検査を行う方法もあります。
タグやリーダーアンテナの近くに金属製の棚や設備、容器などがあると、電波の反射やアンテナ特性の変化により、読み取り距離や精度が低下することがあります。
対策として、タグやアンテナを金属面から離して設置する、タグと金属の間にスペーサーや磁性体シートを挟むといった方法があります。金属製品へ直接取り付ける場合は、金属面での使用を前提に設計された金属対応タグを選びましょう。
金属対応タグは、製品によって通信距離やサイズ、厚さ、取り付け方法、耐熱性が異なります。管理対象物や設置環境に合う製品を選び、実際の運用条件で読み取りテストを行うことが大切です。
RFIDは複数のタグを一括で読み取れますが、タグ同士が重なっていたり、極端に近い位置に並んでいたりすると、タグアンテナ同士の相互作用によって読み取り性能が低下することがあります。
貼り付け位置や向きを調整し、必要に応じてタグ同士の間隔を確保しましょう。タグを重ねて管理する場合は、積層状態での読み取りに対応したタグも選択肢となります。ただし、対象物の材質や積み重ね方によって結果が変わるため、導入前の検証が必要です。
複数のアンテナを近接して設置すると、それぞれの読み取り範囲が重なり、意図しないタグを読み取ったり、通信が不安定になったりすることがあります。
アンテナ同士の間隔を確保し、読み取り範囲が必要以上に重ならないよう設計しましょう。近接設置が必要な場合は、アンテナの向きや出力、動作するタイミングを調整します。
RFIDの読み取り性能は、リーダーアンテナとタグアンテナの位置や向きによって変わります。特に直線偏波アンテナでは、タグアンテナとの向きが合わないと受信する電波が弱くなり、読み取りにくくなることがあります。
タグの向きが一定になる運用では、読み取りやすい角度に合わせてアンテナを設置しましょう。向きが一定にならない場合は、円偏波アンテナや複数方向から読み取る構成も検討します。
RFIDでは、LF帯、HF帯、UHF帯、マイクロ波帯などの周波数帯が使われています。周波数帯によって通信距離や読み取り速度、金属や水分の影響が異なるため、用途に合ったシステムを選ぶ必要があります。
例えば、UHF帯は離れた位置から複数のタグを読み取りやすい一方、設置環境や対象物の材質によって通信性能が変わりやすい傾向があります。必要な通信距離やタグ数、対象物の材質、設置スペースを踏まえて選定しましょう。
RFIDタグは、リーダーアンテナから送信された電波をタグ側のアンテナで受信し、そのエネルギーを使って情報を返します。一般的なタグを金属面に直接貼ると、電波の伝わり方やタグアンテナの特性が変わり、正常に通信できないことがあります。
金属に電波が当たると、表面に電流が生じます。その影響で周囲の電界分布が変わり、タグアンテナが受け取れるエネルギーが弱くなることがあります。
特に電池を持たないパッシブ型RFIDタグは、受信した電波を動作エネルギーとして利用します。十分な電力を得られなければICチップが起動せず、タグが取り付けられていても応答しない状態になります。
金属は電波を通しにくく、多くを反射します。タグとリーダーアンテナの間に金属製の棚や容器、設備などがあると、電波が遮られてタグまで届きにくくなります。
また、金属面で反射した電波と直接届く電波が重なると、場所によって電波の強さに差が生じます。このため、同じタグでも置く位置や向きによって読み取り結果が変わることがあります。
RFIDタグのアンテナは、使用する周波数帯の電波を効率よく受信できるよう設計されています。一般的なタグを金属面に密着させると、金属とタグアンテナが電気的に干渉し、共振周波数やインピーダンスが変化します。
その結果、アンテナとICチップの整合が崩れ、電波を効率よく送受信できなくなります。リーダーライターの出力を上げても改善しない場合があるため、金属環境に合ったタグや設置方法が必要です。
金属を扱う環境でRFIDを安定して運用するには、タグの種類だけでなく、取り付け位置やアンテナ配置、読み取り条件まで含めて設計する必要があります。
金属製の工具や部品、設備、容器に直接取り付ける場合は、金属対応タグを使用します。金属対応タグは、タグアンテナと金属面の間に絶縁材や磁性体を設けるなど、金属の影響を受けにくい構造になっています。
ただし、金属対応タグであれば、どの環境でも同じ性能を発揮するわけではありません。必要な読み取り距離、対象物の形状や大きさ、設置スペース、温度、薬品、衝撃などの条件を整理したうえで選びましょう。
一般的なRFIDタグを使う場合は、タグと金属面の間に距離を設けることで、読み取り性能が改善することがあります。樹脂やゴムなどの非金属製スペーサーを挟み、金属面に直接密着させないようにします。
必要な間隔は、タグの種類や周波数帯、金属の形状によって異なります。スペーサーの厚みを変えながら、読み取り距離や読み取り率を確認しましょう。
HF帯など磁界を利用するRFIDでは、タグやアンテナと金属の間に磁性体シートを設置することで、金属の影響を抑えられる場合があります。磁性体シートは磁束の経路を整え、金属面に発生する渦電流の影響を軽減するために使われます。
適した材料は、周波数帯やアンテナの構造によって異なります。使用するタグやアンテナとの適合性を確認したうえで導入しましょう。
タグを読み取りにくい場合は、リーダーアンテナの位置や角度を変え、金属に遮られにくい方向から電波を当てます。タグの正面から読み取る、複数方向にアンテナを配置するなど、対象物の動きや向きに合わせた設計が必要です。
出力を上げれば必ず安定するわけではありません。出力が強すぎると、不要な範囲まで電波が届き、周囲のタグを誤って読み取ることがあります。必要な読み取り範囲を満たす最小限の出力に調整することがポイントです。
金属は同じ材質でも、平面、曲面、筒状、箱状といった形状によって電波の反射やタグアンテナへの影響が異なります。製品の端に付けるか中央に付けるかによっても、読み取り結果が変わることがあります。
取り付け位置を一律に決めるのではなく、対象物ごとに読み取りやすい場所を確認しましょう。作業者によって位置が変わらないよう、取り付けルールを決めておくことも大切です。
RFIDの読み取り性能は、タグやリーダーライターの仕様だけでは判断できません。金属製の棚や設備、対象物の積載状態、人や搬送機器の動きによっても結果は変わります。
導入前に、実際に使用するタグ、対象物、アンテナ、リーダーライターを使い、読み取り距離や読み取り率を検証しましょう。対象物が移動する場合は、速度や通過方向を変えたテストも必要です。小規模な実証実験で条件を確認してから本格導入へ進むことで、導入後のトラブルを防ぎやすくなります。
CHECK
RFIDの読み取り性能は、金属や水分、タグの向き、アンテナの配置など、実際の使用環境によって変わります。機器の仕様だけでなく、現場に近い条件で検証することが大切です。
導入先を比較する際は、環境に合うタグを提案できるか、アンテナの調整やPoC、既存システムとの連携まで支援してもらえるかを確認しましょう。
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